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「勝てるシステム」を信用しない理由――勝率の高さが隠すもの

「システム」という言葉そのものが怪しいわけではありません。手順を決めておけば、その場の気分で判断を変えにくくなります。私もブラックジャックの基本戦略は尊重しています。

私が信用しないのは、手順と利益のあいだに説明のない橋を架けて、「この通りに賭ければ勝てる」と言う仕組みです。

勝てる「システム」を信用しない理由

こうした話を見分けるとき、最初に確認したいのは勝率ではありません。「勝った一回」と「負けた一回」が、同じ大きさなのかどうかです。

64分の63で勝てても、利益とは限らない

ごく単純な例を考えてみます。勝つ確率も負ける確率も50%、当たれば賭け金と同額の利益が出る、公平な仮想ゲームです。

最初に1単位を賭け、負けるたびに2、4、8、16、32と倍にする。どこかで一度勝てば終了し、6回続けて負けた場合もそこで終えるとします。

6回以内に一度でも勝つ確率は64分の63、約98.4%です。成功した回の利益は、いつ勝っても1単位。一方、6連敗した回の損失は、合計63単位になります。

一回のサイクルについて期待値を計算すると、64分の63×1単位の利益と、64分の1×63単位の損失が打ち消し合います。これはもともと公平なゲームなので、期待値はゼロです。実際の賭けに運営側の優位があれば、そこからさらに不利になります。

「約98%の回で勝った」という説明は、数字としては間違っていません。ただし、それだけを見せれば、かなり大事な63単位が文章の外へ出ていきます。数字は正直でも、どの数字を紹介するかを決めるのは人間です。

賭け金の順番は、損失の形を変える

倍賭けのような資金配分は、小さな勝ちが多く、大きな損失がまれに出る形へ結果の分布を変えます。元の一回が持つ確率や配当まで、賭け金の並べ方が書き換えるわけではありません。

英国ギャンブル委員会のRTPとハウスエッジに関する解説でも、RTPは多数回のプレイで達成される平均であり、ランダム型のゲーム機では、現在のゲームで勝つ確率は過去の勝敗に左右されないと説明されています。短い時間に勝ちが続くことと、その遊びの平均的な条件が有利になることは別の話です。

ルーレットの資金配分法を検証した例もあります。英国王立統計学会の誌面に掲載されたリバース・ラブーシェ法のシミュレーション研究では、偏りのない欧州式と米国式のルーレットをそれぞれ合計15億回回した結果、システムを使った損失率は理論上のハウスエッジに近い値になりました。

一つの研究で、世の中にある全手法を片づけることはできません。それでも、賭ける順番を複雑にしただけでは、土台の不利は消えないという点はよく見えます。複雑さは、ときどき効果より先に立派な服を着ます。

戦略、予測、資金管理を分けて考える

ここで、すべての手順を同じ箱へ入れないことも大切です。

ブラックジャックの基本戦略は、直前に勝ったから次の賭け金を倍にする方法ではありません。手札、ディーラーのアップカード、テーブルのルールという、判断時に利用できる条件から行動ごとの期待値を比べます。詳しくは、基本戦略が「正しくするもの」を考えた記事に書きました。

それでも次の一枚は予言できませんし、利益も保証しません。不利な選択を減らす戦略と、必ず勝てる仕組みは同じではないのです。

また、使う金額や終える時刻を先に決める手順には、別の役目があります。それは一回の勝率を上げるのではなく、参加する回数や引き受ける損失の範囲を制限します。役に立つ手順ですが、「勝つためのシステム」と呼ぶと守備範囲が分からなくなります。

予測は結果を当てようとするもの。戦略は与えられた条件の中で選択を比べるもの。資金管理は、賭けにさらす量を扱うものです。名前が似ていても、動かしているものは違います。

実績を見るなら、勝った回数より先に確認すること

システムの実績を示されたら、私は「何勝したか」より、何を一回として数えたのかを見ます。一度勝つまでを一回と呼び、限度額に達したときだけ「中断」と扱えば、成績表はずいぶん清潔になります。汚れを消したのではなく、欄外へ移しただけです。

総損益だけでなく、総賭け金、最大の賭け金、一度の失敗で失う額も必要です。途中で資金やテーブルの上限に達した回が含まれているか。始める前に決めた規則が、結果を見てから修正されていないか。同じゲームで総賭け金もそろえた一定額賭けと比べて、何が改善したのか。そこまで見なければ、システムの効果と、たまたま都合のよかった期間を区別できません。

説明が負けるたびに変わるなら、検証は終わりません。「今回は条件が悪かった」「完全には守らなかった」「もう少し続ければ戻った」。この仕組みで守られているのは、賭け金ではなく、システムの評判でしょう。

私は、手順を持つことには反対しません。むしろ、感情に合わせて毎回ルールを作り直すよりはよい。ただし、その手順が何を変え、何を変えないのかは、先に分けておきたいと思います。

1単位だけ勝って終える「成功回」の割合を増やすことはできます。大きな損失が現れる時期を後ろへ送ることもできます。しかし、それだけで不利な確率が有利になるわけではありません。

「勝てる」という名前を外したあとにも役目が残るなら、その手順には検討する価値があります。名前を外した途端に何も残らないなら、私ならそこで話を終えます。