正直に言うと、ブラックジャックとはかなり長い付き合いです。
最初は大阪のパチンコ屋。そのあと80〜90年代のマカオのカジノ。で、今は気が向いたときにオンラインでも座ります。
若いころはね、けっこう真面目にやってましたよ。カードの流れを研究したり、確率表を暗記したり、戦略について人と議論したり。あの頃は「ちゃんとやれば勝てるゲームだ」と本気で思ってました。
でも、50年も続けてると、さすがに見え方が変わります。

今ははっきり言えます。
ブラックジャックって、カードのゲームじゃないです。
もちろんカードは使います。でもそれって、表に出てる部分にすぎないんですよね。
実際に勝負を分けてるのは、もっと別のところにある。
なぜブラックジャックは「コントロールできるゲーム」に見えるのか
このゲーム、うまいこと人を勘違いさせます。
やってると、こんな感覚になりません?
・自分で決めている気がする
・結果に影響を与えている気がする
・正しくやれば勝てる気がする
カジノの中ではちょっと珍しいタイプです。ルーレットとかスロットって、基本的に何もできないですからね。
でもブラックジャックは違う。
ヒットするか、スタンドするか、ダブルするか、スプリットするか。
だから多くの人が「これは攻略できる」と思う。
で、これも完全に間違いではないんです。
1960年代にエドワード・O・ソープが『Beat the Dealer』を書いて、カードカウンティングが広まったのも事実ですし。
ただ、長くやってるとだんだん気づきます。
戦略って、ゲームを支配するためのものじゃないんですよ。
自分の行動に責任を持たせるためのもの、という感じに近い。
私が最初に勘違いしていたこと
若い頃の自分はこう思ってました。
「基本戦略さえ覚えれば安全」
これ、半分は当たりで、半分は外れです。
確かに基本戦略は助けになります。
大きなミスは減る。
でも、自分自身のミスまでは防いでくれないんですよね。
本当のゲームはカードが配られる前に始まる
ここが一番大事かもしれません。
ブラックジャックって、カードが配られる前にもう始まってるんです。
テーブルに座るとき、自分がどんな状態か。
・疲れてないか
・ちょっとイライラしてないか
・負けを取り返そうとしてないか
・「今日はツイてる気がする」とか思ってないか
カードはそんなこと一切気にしません。
でも、その状態をそのまま増幅するんですよ。
このゲーム、気分を良くしてくれるものじゃないです。
気分を大きくするものです。
同じカードでも結果が違う理由
マカオで何度も見ました。ほんとに同じような状況で、全然違う結果になる場面。
同じテーブル、同じルール、似たようなカード。
なのに、ある人は静かに席を立っていく。
別の人はイラついて、ペースを上げて、そのまま崩れていく。
違いはカードじゃないです。
反応です。
ブラックジャックって、ちょっとした鏡みたいなもので、プレッシャーの中で自分がどう判断するかを見せてくるんですよね。
よくある間違い:「手を守ろうとする」
これもよく見ます。
何回か連続で勝つと、急に怖くなる人。
・カードを引くのが怖い
・リスクを取りたくない
・とにかく負けたくない
この状態に入ったら、正直もう勝負は終わりです。チップが残ってても関係ない。
ブラックジャックで必要なのは慎重さというより、むしろ判断のクリアさです。
恐怖って、欲よりも早く判断を壊しますから。
カードカウンティングがすべてを解決しない理由
カードを数える人もたくさん見てきました。中には本当に上手い人もいます。
それでも負ける人はいる。
理由はシンプルで、カウンティングではどうにもならない部分があるからです。
・疲れ
・長時間プレイ
・結果に対する感情の入り込み
カウントはツールでしかないんですよね。
状態の方が土台です。
土台が崩れてたら、ツールはあまり意味を持たない。
ブラックジャックと「間」
パチンコを長くやってると、「間(ま)」っていう感覚が分かってきます。
玉が落ちるまでの静けさとか、レバーを引く前の一瞬とか。
ブラックジャックにも似たものがあります。
ただ、ほとんどの人は見逃してる。
ときには、1回見送るのが一番いい選択なこともあるんです。
何もしないで、ただ見る。
これが意外と難しい。
「チャンス逃してる気がする」って感じるから。
でも実際は、その瞬間に自分で選べてる状態に戻ってるんですよね。
ブラックジャックで一番大事な決断
多くの人は、判断といえば
HitかStandか
DoubleかSplitか
このあたりだと思ってます。
でも長くやってきて思うのは、そこじゃない。
一番大事なのは、席を立つタイミングです。
これはカードもディーラーもカウントも関係ない。
完全に自分の問題です。
「いい手が来たら帰る」と思ってると、だいたい帰るの遅れます。
ブラックジャックが私に教えてくれたこと
このゲーム、結局いろんなものを見せてきます。
・焦り
・恐れ
・証明したい気持ち
で、ひとつ面白いのが、
「勝たなきゃ」と思ってるときほど、プレイが雑になるんですよ。
逆に、ただ落ち着いてるときの方が結果はいい。
理屈っぽくはないですけど、50年やってきて外れたことはないです。
それでも私がブラックジャックを続ける理由
お金でもスリルでもないです。
自分にとっては、小さなテストみたいなものです。
静かで、わりと正直なテスト。
このゲーム、ひらめきとかじゃなくて、「今ここにいられるか」を見てきます。
それができてないと感じたら、その日は座らないです。
おわりに
もしブラックジャックを「カードのゲーム」だと思ってるなら、たぶん組み合わせや確率を勉強すると思います。
でも「判断のゲーム」だと気づくと、見る方向が変わる。
自分を観察し始めるようになります。
そうすると、だいたい気づきます。
負けるのは手じゃない。
状態です。
カードはただ、それを記録してるだけ。
今日はこのへんで。
ちなみに、うちの妻はよく言うんですよ。
「年金だけは溶かさないでね」って。
70にもなると、その意味が身にしみます。
無理する必要はないですね。
今日はちゃんと引けたら、それが一番の勝ちです。