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昔の打ち手が静かに語る、ブラックジャックの基本ルール

今朝、盆栽の枝を整えていたときのことだ。妻が私の肩越しにノートをのぞき込み、なぜ「17」という数字を三度も書いているのかと聞いた。

昔の打ち手が静かに語る、ブラックジャックの基本ルール

「ブラックジャックの記事を書こうと思ってね」

そう答えると、妻は、何ひとつ説明を受けていないような顔でうなずいた。

「あなたの記事を読んだ人が、年金まで賭けないようにしてちょうだい」

結婚して四十五年以上になる。複雑な話を、ごく現実的な一言にまとめる腕前では、私はいまだに妻にかなわない。

ブラックジャックは、カジノのカードゲームの中でも比較的わかりやすいものとして紹介されることが多い。

たしかに、基本だけなら難しくない。お茶をいれるのと同じで、水と茶葉と湯飲みがあれば形にはなる。ただし、仕事先で薄いお茶を出された経験のある人ならわかると思うが、単純なことでも、うまくやるのは案外むずかしい。

ブラックジャックの目的は、ひとことで言えばこうなる。

21を超えない範囲で、ディーラーよりも21に近い手を作ること。

だいたい、それで全部である。

しかし、この短い一文の中に、いくつものルールと判断があり、そして誤解もある。五分でルールを覚えた人が、興奮した瞬間にそれを忘れ、その後何年も同じことを繰り返す。私はそんな場面をずいぶん見てきた。

私が本格的にブラックジャックを打つようになったのは、1980年代のマカオだった。

私が本格的にブラックジャックを打つようになったのは、1980年代のマカオだった

それ以前の私の遊び場といえば、大阪のパチンコ店や、小さな麻雀部屋である。空気よりも煙草の煙のほうが濃いような場所だった。それに比べると、ブラックジャックのテーブルは妙に整然として見えた。

カードは順番に配られ、ディーラーは決められたルールに従う。誰かがこちらの顔をじっと見て、手の内を読もうとすることもない。

ずいぶん文明的なゲームだと思った。

そして、それが別の意味で危ういことにも、あとで気づいた。

プレイヤーに選択肢があると、人はすぐに「自分が結果を支配している」と思い始める。ブラックジャックは、ほかの多くのカジノゲームよりも、プレイヤーの判断が結果に関わるゲームだ。

けれど、関われることと、支配できることは同じではない

けれど、関われることと、支配できることは同じではない。

数学的に妥当な判断をしても、そのハンドに負けることはある。

これはブラックジャックの欠点ではない。そういうゲームなのである。

「21を作るゲーム」ではない

初心者の中には、ブラックジャックとは、とにかく21を作る競争だと思っている人がいる。

そうではない。

相手は21という数字ではなく、ディーラーである。

こちらが18でも、ディーラーが17なら勝ちだ。こちらが20でも、ディーラーが21なら負ける。反対に、こちらが12という何とも頼りない数字でも、ディーラーがカードを引きすぎて21を超えれば勝てる。

21を超えることを、ブラックジャックではバストという。

プレイヤーがバストした時点で、その手は即座に負けになる。そのあとディーラーもバストしたとしても、引き分けにはならない。

このルールを知った初心者は、少し不満そうな顔をする。

「両方とも21を超えたのだから、同じではないか」

そう思うのだろう。

しかし、カジノ側の考えは違う。プレイヤーのほうが先に失敗した。それだけである。

ブラックジャックには、こうした小さな非対称がいくつかある。それらがハウスエッジ、つまりカジノ側の優位性を作っている。

腹を立ててもルールは変わらないので、静かに確認しておくほうがいい。

カジノゲームは町内運動会ではない。参加者全員に記念品が配られるようには作られていない。

通常のラウンドでは、まず自分の前にあるベットエリアへチップを置く。その後、プレイヤーとディーラーにそれぞれ2枚ずつカードが配られる。

配り方は、カジノやゲームの形式によって少し違う。

多くのゲームでは、プレイヤーの2枚は表向きに配られる。ディーラーのカードは、通常1枚が表向き、もう1枚が裏向きである。

表向きのカードはアップカード、裏向きのカードはホールカードと呼ばれることが多い。

オンライン版では見せ方が多少違う場合もあるが、考え方は同じだ。

プレイヤーが判断するとき、主に見るものは二つである。

  • 自分の手札の合計
  • ディーラーのアップカード

直前のハンドがどうだったか。

隣の客が勝ち続けているか。

ディーラーが交代したばかりか。

「そろそろ8が来る気がする」か。

そういうことは判断材料にはならない。

偶然を前にして落ち着かなくなると、人間は実に豊かな想像力を発揮する。

カードの数え方

2から10までの数字札は、書かれている数字がそのまま点数になる。

6なら6点、9なら9点だ。酒を二杯ほど飲んだあとでも、このあたりまでは何とか数えられる。

ジャック、クイーン、キングの絵札は、すべて10点として扱う。

エースだけは少し特別で、状況に応じて1点または11点として数えられる。

この柔軟さが重要になる。

たとえば、最初の2枚がエースと6だったとする。この手は、7としても17としても数えられる。

通常は、21を超えず、より強い数字である17として扱う。

エースを11として数えてもバストしない手を、ソフトハンドという。したがって、エースと6は「ソフト17」だ。

そこへ9を引いた場合、11+6+9では26になり、バストしてしまう。

そこでエースを1に切り替える。すると合計は16になる。

折れる前に、少し曲がってくれるわけだ。

ソフトハンドには、追加のカードを引ける余裕がある。

一方、エースによる調整ができない手はハードハンドと呼ばれる。10と7ならハード17だ。

そこからもう1枚引いても、都合よく数字を変えて助けてくれるエースはいない。

「ソフト」「ハード」という言葉は、最初は専門用語のように聞こえるかもしれない。

けれど、意味は単純だ。一方には余白があり、もう一方には余白がない。

年を取ると、生活でも同じことが大切になる。

七十になった今、私は予定にも、支出にも、意見にも、少し余白を残すようにしている。

若いころは、何でも21ぎりぎりまで詰め込んでおいて、小さな予定が一つ増えただけで、なぜ一週間全部がバストするのか不思議に思っていた。

ナチュラル・ブラックジャックとは何か

最初の2枚として最も強い組み合わせは、エースと10点札である。

つまり、次のいずれかだ。

  • エースと10
  • エースとジャック
  • エースとクイーン
  • エースとキング

この2枚だけで作る21を、ブラックジャック、またはナチュラルと呼ぶ。

3枚以上で作った21とは区別される。

たとえば、7、6、8なら合計は21になるが、ナチュラル・ブラックジャックではない。

通常、2枚で完成したブラックジャックは、3枚以上で作った21より強い。

プレイヤーとディーラーの両方がブラックジャックだった場合は、一般的に引き分けになる。これをプッシュと呼び、元の賭け金が返される。

ブラックジャックの配当は、テーブルによって異なる。

伝統的には3対2だ。たとえば10を賭けてブラックジャックになれば、利益として15を受け取り、さらに元の賭け金10も戻ってくる。

ただし、近年は6対5というテーブルもある。

こちらはプレイヤーにとって、かなり条件が悪い。

テーブルの隅に小さく書かれていると、たいした違いではないように見える。しかし、長く打てば、その差は小さくない。

私は、楽しそうな絵の横に小さな文字で書かれた条件を、あまり信用しないことにしている。

昔の大阪のホールなら、少なくとも台が大きな音を立てて、「こちらはあなたのお金を欲しがっています」と知らせてくれた。

今のオンライン画面は、きれいな書体と柔らかな色で、同じことを頼んでくる。

プレイする前に、ブラックジャックの配当を確認したほうがいい。

一般的には、6対5より3対2のゲームを選ぶべきである。

これは秘密の攻略法ではない。

座る前にルールを読むというだけのことだ。カードカウンティングほど格好よくはないが、多くの人にとっては、こちらのほうが役に立つ。

基本の選択――ヒットとスタンド

最初の2枚を受け取ったあと、プレイヤーはその手をどう進めるか決める。

最も基本的な選択が、ヒットスタンドである。

ヒットは、もう1枚カードをもらうこと。

スタンドは、それ以上カードを引かず、現在の合計で勝負することだ。

たとえば手札が12で、ヒットを選んだとする。

ディーラーから5を受け取れば、合計は17になる。そこでスタンドしてもよいし、ルール上可能で、なおかつ判断力が少し席を外しているなら、さらにヒットしてもよい。

スタンドするか、21になるか、バストするまで、カードを引くことはできる。

ブラックジャックの緊張感は、弱い数字のまま止まる危険と、もう1枚引いてバストする危険のどちらを選ぶか、というところにある。

16は、その代表だろう。

よく現れる。気持ちのよい選択肢を与えてくれない。そして、もっと良い手よりも長く記憶に残る。

ディーラーのアップカードによっては、16でヒットするのが基本戦略上正しいこともある。別のアップカードならスタンドがよく、サレンダーが使える場合は、それが最善になることもある。

ただし、どれほど妥当な判断をしても、負けることはある。

ここで人は、数学に文句を言い始める。

「やっぱり止まっておけばよかった」

そう言う。

たいていの場合、「やっぱり」と思ったのは、次のカードを見たあとである。

判断は、その時点で持っていた情報によって評価すべきだ。あとから現れたカードを基準にしてはいけない。

私はこれを麻雀で覚えた。

まあ、ずいぶん高い授業料だった。

ディーラーが強いアップカードを見せているとき、16でヒットして10を引き、バストしたとする。

だからといって、ヒットが愚かな選択だったとは限らない。

選んだリスクが、実際に起きたというだけだ。

正しい判断は、気分のよい結果を保証してくれるものではない。

ブラックジャックから学べることの中では、これはなかなか有用だと思う。授業料が高くなりすぎなければ、だが。

ディーラーは自由に判断しない

プレイヤーとディーラーの大きな違いは、ディーラーには自由な選択がないことだ。

気分や直感、プレイヤーの顔色を見て、ヒットするかスタンドするかを決めるわけではない。

あらかじめ定められたハウスルールに従う。

多くのブラックジャックでは、ディーラーは少なくとも17に達するまでカードを引かなければならない。

ただし、ソフト17の扱いはテーブルによって違う。

ディーラーがソフト17でスタンドするルールは、S17と表記される。

ソフト17でもヒットするルールは、H17だ。

一般に、ディーラーがソフト17でスタンドするゲームのほうが、プレイヤーにはわずかに有利である。

もちろん、映画になるような話ではない。

引退した男がテーブルの隅をのぞき込み、ディーラーがソフト17でヒットするかどうかを確認する。そんな場面を中心にした華やかなカジノ映画を、私はまだ見たことがない。

しかし、派手なことより、こうした静かな違いのほうが、あとでお金に効いてくる。

すべてのプレイヤーが行動を終えると、ディーラーは裏向きのカードを公開し、ルールに従って手を完成させる。

ディーラーがバストした場合、それ以前にバストしていないプレイヤーは勝ちになる。

ディーラーがバストしなかった場合は、互いの数字を比べる。

  • プレイヤーのほうが高ければ勝ち
  • 低ければ負け
  • 同じなら通常はプッシュ

仕組みは単純だ。

その場にいる人間の感情は、あまり単純ではない。

ダブルダウン

ダブルダウンとは、最初の賭け金と同額を追加し、代わりにカードを1枚だけ受け取る選択である。

その1枚を受け取ったあとは、必ずスタンドしなければならない。

たとえば10を賭け、最初の2枚の合計が11だったとする。

さらに10を追加し、カードを1枚だけ受け取って、その数字で勝負する。

11は、ダブルダウンに適した強い手になることが多い。10点札が多く残っているためだ。

ただし、実際にダブルすべきかどうかは、ディーラーのアップカードやテーブルルールによって変わる。

最初の2枚ならどの数字からでもダブルできるテーブルもあれば、9、10、11など、特定の合計に限るところもある。

ダブルダウンの魅力はわかりやすい。

有利に見える場面で、賭け金を増やせる。

危うさもわかりやすい。ただし、こちらは後になってから見えやすい。

ダブルダウンは、興奮した勢いで選ぶものではなく、あらかじめ理解した戦略に基づいて行うべきだ。

賭け金を増やしたときに呼吸が変わるようなら、もとのベット額がすでに大きすぎるのかもしれない。

マカオで、何度もダブルダウンしながら、周囲の客に自信たっぷりに話しかける男を見たことがある。

判断を重ねるたびに、彼の声は大きくなった。

最後のほうになると、彼の戦略は、テーブル全員に自分の声を聞かせることではないかと思えてきた。

麻雀を打っていたころから、声の大きな人が、必ずしも強いとは限らないと知っていた。

こちらが気づく前に、自分自身を納得させようとしているだけのこともある。

ペアのスプリット

最初の2枚が同じランクだった場合、ルールによっては、そのペアを二つの手に分けられる。

これをスプリットという。

テーブルによっては、同じ数字ではなく、同じ点数のカードでもスプリットできる場合がある。

スプリットするには、最初の賭け金と同額を追加する。

2枚のカードはそれぞれ別の手の最初の1枚となり、そこへ新しいカードが1枚ずつ配られる。

たとえば、8が2枚来たとする。

そのままなら合計16で、扱いにくい。

そこでスプリットすれば、8から始まる手を二つ作れる。

どちらも良い手になる保証はないが、少なくとも、ひどく不利な16を一つ抱えた状態からは離れられる。

基本戦略では、一般にエースと8はスプリットする。

一方、10点札のペアは、通常スプリットしない。

10点札が2枚なら、すでに20である。ブラックジャックでは非常に強い手だ。

「二つに分ければ、両方ブラックジャックになるかもしれない」と考えて20を壊すのは、数秒ほど大胆に見え、その後ずっと愚かに見える種類の判断である。

可能性があることと、状況が良くなることは別だ。

エースをスプリットした場合は、特別な制限が設けられていることが多い。

多くのテーブルでは、分けたエースそれぞれに対して、追加カードは1枚しか引けない。

また、スプリットしたエースに10点札が来て21になっても、通常はナチュラル・ブラックジャックとは扱われず、通常の勝ちとして配当される。

再スプリットのルールもテーブルによって違う。

分けたあとに同じカードが来れば再びスプリットできる場合もあれば、手の数に上限がある場合もある。

ブラックジャックは、どのテーブルも同じではない。

だからこそ、思い込みで座らず、ルールを確認したほうがいい。

オンラインなら、その点は少し楽だ。必要な情報は、たいてい画面のどこかに書いてある。

「どこかに」という部分が、なかなか重要なのだが。

インシュランスを、私があまり選ばない理由

ディーラーのアップカードがエースだった場合、インシュランスを勧められることがある。

これは、ディーラーの裏向きカードが10点札で、ブラックジャックになることに賭けるサイドベットだ。

インシュランスには、通常、最初の賭け金の半額まで賭けられる。

ディーラーがブラックジャックなら、一般的に2対1で支払われる。

名前だけを聞くと、何となく安心できそうに思える。

日常生活では、保険は病気や家、車、事故などに備えるものだ。

そのためブラックジャックでも、「損失を抑えるための安全策」のように感じやすい。

しかし、通常の状況では、インシュランスはプレイヤーに有利な賭けではない。

残っているカードの構成を高い精度で把握する方法を持っているのでなければ――これは別の、ずっと高度な話になる――静かに断るのが無難だ。

ディーラーのアップカードがエースで、こちらがすでにブラックジャックの場合、イーブンマネーを提示されることもある。

これはインシュランスとほぼ同じ考え方である。

ディーラーもブラックジャックとなり、プッシュになる可能性を避ける代わりに、1対1の配当を確定させる。

安全に見える。

ただ、通常のブラックジャック配当が3対2なら、長期的には、そのまま通常配当を受ける可能性を残すほうが期待値は高いことが多い。

人は不確実な状態を嫌う。

すでに勝った気分になっているときは、なおさらだ。

インシュランスは、その不快感から解放される安心を売っている。

世の中には、同じ方法で売られている高価なものが案外多い。

サレンダー

一部のブラックジャックでは、サレンダーを選べる。

サレンダーとは、その手を途中で放棄し、最初の賭け金の半分だけを失って終えることだ。

初心者には、少し弱気な選択に見えるかもしれない。

若いころの私も、おそらくそう思った。

ただし、若いころの私は、弱く見られたくないという理由だけで、悪い麻雀の局に入り込み、きちんと負けていた。

したがって、当時の私の意見は、それほど信用しないほうがいい。

ルールやカードの組み合わせによっては、サレンダーが数学的に合理的な場面がある。

よく挙げられるのは、こちらがハード16で、ディーラーのアップカードが10の場合だ。

ただし、最適な判断は、16を構成するカードやテーブルルールによって変わる。

サレンダーにはいくつか種類がある。

一般的なのはレイトサレンダーで、ディーラーがブラックジャックかどうかを確認したあとに利用できる。

それより珍しいアーリーサレンダーは、その確認前に手を放棄できる。

しかし、ここで大切なのは、一つのハンドだけの話ではない。

悪い状況で全額を危険にさらすより、半分を手放したほうがよいこともある。

この考え方を発明したのは、カジノではない。

人がサレンダーを嫌がるのは、損失がすぐに目に見えるからだろう。

続けている間は、希望が残る。

ただし、希望はいつも無料とは限らない。ときには残り半分の賭け金が、その代金になる。

「全部の勝負に座る必要はない」

すべての勝負に参加しなくてもいい。

そして、一度始めたという理由だけで、悪い状況を最後まで続ける必要もない。

ベーシックストラテジーとは何か

ブラックジャックのベーシックストラテジーとは、自分の手とディーラーのアップカードに応じて、ヒット、スタンド、ダブル、スプリット、サレンダーのどれを選ぶべきかを数学的に整理したものだ。

多くの場合、一覧表やチャートの形で示される。

チャートを見て、「これでカジノに勝てる」と考える人もいる。

反対に、「そんなものは味気ない。自分の感覚で打ちたい」と言う人もいる。

どちらも少し違う。

ベーシックストラテジーは、勝利を保証するものではない。

避けられるミスを減らし、感情や思いつきだけでプレイするより、カジノ側の優位性を小さくするためのものだ。

私は、この点でベーシックストラテジーを尊重している。

チャートは神託ではない。

難波駅の時刻表に近い。

時刻表どおりに動いたからといって、その日すべてがうまくいくわけではない。しかし、理由もなく無視すれば、たいてい余計な面倒が増える。

正確なチャートの内容は、テーブルルールによって少し変わる。

たとえば、次のような条件だ。

  • 使用するデックの数
  • ディーラーがソフト17でヒットするか、スタンドするか
  • スプリット後のダブルが認められているか
  • サレンダーが利用できるか
  • スプリットしたエースがどう扱われるか

初心者が、許可されたテーブルでストラテジーカードを見ながら打ったり、事前にチャートで練習したりすることは、少しも恥ずかしいことではない。

恥ずかしいことがあるとすれば、「自分の勘のほうが人間らしい」という理由だけで、役立つ情報を拒むことだろう。

私は何十年もカードゲームをしてきた。

経験のおかげで、自分が焦り始めたことには、以前より早く気づけるようになった。

しかし、私の経験がどれだけ増えても、6のカードが7になることはない。

よくある手を、いくつか見てみる

ここで、実際によく出る手を簡単に見ておこう。

まず、10と7ならハード17だ。

ほとんどの場面でスタンドする。もう1枚引くと、バストする危険が大きすぎる。

では、エースと6ならどうか。

同じ17でも、こちらはソフト17である。

エースを11から1へ変えられるため、もう1枚引いても、すぐにはバストしない。

ディーラーのアップカードやルールによっては、ヒットまたはダブルが基本戦略上の選択になる。

8が2枚なら、合計はハード16だ。

一般的な基本戦略では、スプリットする。

キングとクイーンなら20。

静かにスタンドし、ありがたく思えばよい。

テーブルが少し退屈になったからといって、二つに分ける必要はない。

こちらが10と2で、ディーラーが6を見せている場合はどうか。

こちらは12だ。

12は弱く見えるが、ディーラーの6もバストしやすいカードである。

基本戦略では、一般にスタンドし、カードを引かなければならないディーラー側にリスクを負わせる。

これは初心者には、なかなか受け入れにくい考え方だ。

手を強くしようとしないことが、勝ちにつながる場合もある。

弱い状況だからといって、すぐ何かをしなければならないわけではない。

私の盆栽は、このことを多くのプレイヤーよりよく知っている。

枝が少し悪い方向へ伸びているからといって、何度も切ればよいわけではない。

ひと季節待ち、あらためて眺めるほうがよいこともある。

カードは木よりずっと早く進む。

しかし、焦りの性質は同じだ。

自分の気分より、ディーラーのアップカードを見る

初心者は、自分の合計だけを見がちだ。

「15は良い手ですか、悪い手ですか」

そう聞かれることがある。

答えは、ディーラーのアップカードによって大きく変わる。

一般に、ディーラーの2から6は弱いアップカードとされる。

決められたルールに従ってカードを引くうちに、バストする可能性が比較的高いからだ。

一方、7からエースまでは、強いアップカードとされる。

もちろん、ディーラーが6なら必ず負け、10なら必ず勝つという意味ではない。

確率が異なるので、その違いに応じてこちらの判断も変える、というだけだ。

ディーラーのアップカードが弱い場合、強いカードに対してなら不安になるような数字でも、スタンドすることがある。

逆にアップカードが強ければ、こちらも一定のリスクを取らなければならないことがある。

カードがこちらの勇気を評価してくれるからではない。

何もしないままでは、すでに負けやすい位置にいるからだ。

ブラックジャックでは、手札の強さは相対的なものだ。

自分の数字だけで完結していない。

人間関係にも少し似ている。

ただし、人間同士を比べ始めると、ブラックジャックよりずっと騒がしくなる。

サイドベットは、別のゲームと考える

最近のブラックジャックテーブルには、Perfect Pairs、21+3、Lucky Ladies、ジャックポット系の賭けなど、さまざまなサイドベットが用意されている。

自分のカードとディーラーのカードを使った特定の組み合わせ、同じスートのペア、ポーカーのような役、特定の合計などに対して、大きな配当が設定されている。

見た目も華やかで、期待感がある。

その一方で、通常はメインのブラックジャックよりハウスエッジが高い。

だからといって、サイドベットを絶対にしてはいけないとは言わない。

大人が娯楽として使うお金なら、どう使うかは本人が決めればいい。

私も家に麦茶があるのに、自動販売機で缶コーヒーを買うことがある。

すべての判断を最適化して生きる必要はない。

ただし、サイドベットは、ブラックジャックの正しい戦略の一部ではなく、別の賭けだと理解しておいたほうがいい。

ベーシックストラテジーを完璧に守りながら、毎回条件の悪いサイドベットをしている人もいる。

冬に窓を一枚ずつ丁寧に閉めながら、玄関を開けっぱなしにしているようなものだ。

オンラインカジノでは、サイドベットのほうに派手なアニメーションや大きな数字が使われることが多い。

その横では、メインゲームが少し地味に見えてくる。

偶然ではない。

目は花火のほうへ向かう。

お金も、たいてい同じ方向へ向かう。

お金も、たいてい同じ方向へ向かう

テーブルルールでゲームの質は変わる

プレイする前に、ルールを確認しておきたい。

特に見ておくべきなのは、次のような点だ。

  • ブラックジャックの配当
  • 使用デック数
  • ディーラーがソフト17でヒットするか、スタンドするか
  • スプリット後のダブルが可能か
  • サレンダーが用意されているか
  • エースのスプリットにどのような制限があるか
  • 最低ベット額と最高ベット額

ほかの条件が同じなら、デック数が少ないほうがプレイヤーに有利になる場合がある。ただし、全体の有利不利は、複数のルールを合わせて見なければならない。

ブラックジャックの配当は、6対5より3対2のほうが明らかに良い。

ディーラーがソフト17でヒットするルールより、スタンドするルールのほうが、一般にプレイヤーに有利だ。

スプリット後にダブルできることも、プレイヤーにとっては有用である。

レイトサレンダーがあるテーブルも、条件はわずかに良くなる。

もちろん、どれか一つのルールが良いからといって、ブラックジャックが収入源に変わるわけではない。

ただし、不利なルールがいくつも重なれば、カジノ側の優位性は確実に大きくなる。

私は、初めて使うオンラインテーブルでは、必ず最低ベットから始める。

ルールがどれほど見つけやすいか。

ゲームの進行はどれほど速いか。

途中でやめる操作は簡単か。

そういうことを確認する。

速度は、かなり大事だ。

昔の実際のテーブルには、小さな待ち時間があった。

カードを集める。

チップを動かす。

誰かがお茶を頼む。

客が眼鏡を直す。

ディーラーがシューを交換する。

オンラインでは、次のハンドがほとんど間を置かず始まる。

オンラインでは、次のハンドがほとんど間を置かず始まる

「間が消えると、人は少し弱くなる」

この言葉は、何度か書道で書いた。

考えのほうは悪くないと思うが、字はそれほど上達していない。

勝ち、負け、プッシュの扱い

勝敗の処理はわかりやすい。

プレイヤーがバストすれば、賭け金を失う。

プレイヤーがバストしておらず、ディーラーがバストすれば、プレイヤーの勝ち。

21を超えない範囲で、ディーラーより高い数字なら勝ち。

低ければ負け。

同じ数字なら、通常はプッシュとなり、最初の賭け金が返される。

通常の勝ちは、一般に1対1で支払われる。

10を賭ければ、利益として10を受け取る。

ナチュラル・ブラックジャックは伝統的には3対2だが、テーブルによってはそれより低い配当もある。

一つのラウンドが終わると、次のラウンドが始まる。

この最後の部分が、カードの数え方より多くの問題を起こす。

次のラウンドは、いつでも用意されている。

ゲームには自然な終わりがほとんどない。

テーブルが、

「今夜はもう十分に感情を動かしました。家に帰ってジャズでも聴いてください」

と言ってくれることはない。

終わりは、自分で作らなければならない。

終わりは、自分で作らなければならない

ゲームのルールと、自分のためのルール

カジノのルールは、ディーラーがいつヒットしなければならないかを教えてくれる。

しかし、プレイヤーがいつ席を立つべきかまでは教えてくれない。

だから私は、二種類のルールを持つことにしている。

一つはカードのルールだ。

ヒット、スタンド、ダブル、スプリット、サレンダー。

もう一つは、自分自身のためのルールである。

プレイする前に、私は自分にこう尋ねる。

今、なぜ遊びたいのか。

気持ちは落ち着いているか。それとも、嫌な気分を直すために打とうとしているのか。

どのくらいの時間で終えるのか。

失ってもよいと、あらかじめ決めたお金はいくらか。

その額を失ったら、夕食の席まで不機嫌を持ち込むことにならないか。

これらは、正式なブラックジャックのルールではない。

ディーラーも説明してくれない。

それでも、8のペアをスプリットすべきか知っていることより、重要だと思う。

私は、遊びに使うお金と、生活のためのお金を分けている。

年金、家計、医療費、孫への贈り物。

そういうお金は、ブラックジャックのテーブルには座らせない。

妻の言葉は、今でも私が知る中で最も簡潔な資金管理のルールだ。

「年金まで負けないでちょうだい」

三百ページある本の中には、この一言より少ないことしか書かれていないものもある。

私は、自分の判断が速くなり始めたと気づいたときにも、やめるようにしている。

最初から判断が悪くなるとは限らない。

ただ、速くなる。

その速さは、目の前のハンドを打っていないという最初の兆候になりやすい。

前の負けを取り返したい。

勝った気分をもう少し長く味わいたい。

退屈から逃げたい。

そうした理由で、次のカードへ急いでいる。

その段階になると、ストラテジーチャートはあまり役に立たない。

問題は、12対ディーラー3でヒットするかどうかではなくなっている。

次のカードに、自分の中にある何かを直してもらおうとしている。

カードは、その仕事の訓練を受けていない。

マカオで見た、最後の一手

昔、マカオで、ブラックジャックに大きく勝っている男を見た。

彼の前にはチップが何段も積まれ、テーブル全体が静かに彼を意識していた。

最初のうち、彼の動きは正確だった。

ほとんど話さず、まるで小さな陶器の杯を置くように、ベットを置いていた。

やがて、リズムが変わった。

ベットの間隔が短くなった。

チップの山はいったん高くなり、その後、少しずつ形が崩れた。

笑う回数が増えた。

勝ったあとにも賭け金を上げ、負けたあとにも上げた。

彼の中では、それぞれ違う理由があったのだろう。

数時間後、利益の大部分は消えていた。

私の記憶に残っているのは、お金ではない。

彼の顔だ。

最初は、幸運な夜を楽しんでいる人の顔をしていた。

後半になると、自分がまだ幸運だった時間へ戻ろうとしている人の顔になっていた。

彼はもう、ディーラーに勝とうとしていなかった。

自分自身を取り戻そうとしていた。

あの場面は、ルールブックより多くのことを教えてくれた。

もっとも、そのときすぐに理解できたわけではない。

若いプレイヤーは、危険は負け始めたときに訪れると思いがちだ。

しかし、勝ったあとに「今夜を特別な物語にしなければ」と考えた瞬間から、危険が始まることもある。

ブラックジャックそのものは、控えめなゲームだ。

2枚のカードを受け取る。

ディーラーは1枚を見せる。

プレイヤーは、引くか、止まるか、賭け金を倍にするか、手を二つに分けるか、ときには半分を手放して降りるかを選ぶ。

ディーラーは決められた手順に従う。

数字を比べ、賭け金を精算する。

ゲームは明快だ。

複雑なのは、こちらである。

だから、まずはカードの数え方を覚える。

ブラックジャック、バスト、プッシュ、ヒット、スタンド、ダブル、スプリット、インシュランス、サレンダーの意味を理解する。

テーブルの条件を確認する。

気分ではなく、ベーシックストラテジーを参考にする。

そして、一度の負けを「ただの一度の負け」として受け止められる程度の金額で遊ぶ。

次のラウンドが始まる前に、ほんの一秒、間を置いてみる。

その一秒は、空白ではない。

自分が本当に遊びたいから続けるのか。

それとも、ボタンが目の前にあるから押そうとしているだけなのか。

まだ選べる場所である。

書いているうちに、お茶はすっかり冷めてしまった。

盆栽の枝も、まだ途中だ。

妻は何も言わず、すでに二度、部屋の中をのぞいている。

四十五年も一緒にいると、沈黙がかなり正確な時計になる。

今日は、もうこのくらいでいいだろう。

「今日は引き際が一番の勝ちだ」

今日いちばんの勝ちは、やめどきを知ることなのだから。