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もう二度としないこと——カジノで学んだ静かな境界線

もう二度としないこと——カジノで学んだ静かな境界線

若い頃は、とにかく「できること」を増やしたくて仕方なかったんです。あれもこれも試して、少しでも上手くなりたくて。でも七十を過ぎてみると、逆でしたね。「やらないこと」を決めるほうが、よっぽど効く。

五十年以上、パチンコ台の前やマカオのテーブルに座ってきました。いい日もあれば、思い出したくない夜もある。その中で、別に頭が良くなったわけじゃないんです。ただ、自分のクセに気づいて、それを少し避けられるようになった。それだけです。

これは誰かに教えるためのものじゃありません。自分のためのメモみたいなものです。「もうこれはやらない」と決めたことの記録です。

理由のない一局は、もう打たない

昔は、本当に何でも理由になっていました。時間が空いたから。なんとなく気分が重いから。しばらく打ってないし、ちょっとだけ…みたいな。

でも、やってみて分かったんです。カジノって、気分転換にはならない。むしろ逆で、その時の状態をそのまま大きくするだけです。退屈ならもっと退屈に、焦っていればさらに焦る。

今は一応、自分に聞きます。「なんで今打つんだ?」って。答えが曖昧な日は、まあ、やめておきます。そのほうが後で楽です。

疲れている日は、席に座らない

これは…何度も失敗しました。

疲れているときって、自分では気づきにくいんですよね。でも確実に判断が雑になる。ブラックジャックでもパチンコでも同じで、手は動いてるのに中身がついてこない。気づくと、同じことを繰り返しているだけ。

昔、マカオで見た人がいて。深夜になると必ず席を立つんです。「運じゃない、集中力の問題だ」って言ってました。あの時は半分くらいしか分かってなかったけど、今なら納得です。

最近は、少しでも疲れてるなと思ったら、そもそも行かない。それだけで変な負け方はかなり減りました。

「取り返す」という言葉を捨てた

これは、自分の中で一番危ない言葉でした。

「取り返す」と思った瞬間、もう冷静じゃないんですよね。結果を受け入れていない状態で、次の行動を決めている。

長く見てると分かります。追いかける人ほど、負けが大きくなる。逆に、勝つ人って引くのが早いんです。

今はもう、流れに逆らうことはしません。ダメな日はダメ。それで終わりにします。

プレースタイルを途中で変えない

これも昔はよくやりました。負けたら焦って賭け金を上げる。勝ったら急に守りに入る。イライラして別のゲームに移る。

でも、今思えば全部ブレていただけです。

今は最初に決めたペースを守ります。もし合わないと感じたら、スタイルを変えるんじゃなくて、その日は終わりにする。

盆栽と同じで、無理に形を変えようとすると、全体が崩れるんですよ。

証明のために打たない

誰かに見せたい気持ちで打つと、大体ろくなことになりません。

「まだやれる」「自分は違う」とか、そういうのを証明したくなる時はあります。でも、その時点で冷静さはもうない。

カジノは何も言いません。ただ、こちらのミスを待ってるだけです。静かに。

「特別な日」を信じない

今日は流れがいい気がする。なんとなく当たりそう。

そういう日は、だいたい長く座りすぎています。

連勝が続くと、自分が何か特別な状態にあるような気がしてくる。でも実際は、ほとんどがただの偶然です。

だから今は、どの日も同じように扱います。いい日ならそれでいいし、悪ければ帰る。それだけにしています。

出口を決めずに始めない

前は、終わり方をその場で決めていました。勝ったら帰る、負けたら取り返すまで続ける。

でもそれだと、ほぼ終わらないんですよね。

今は始める前に決めます。金額じゃなくて、自分の状態で。集中が切れたら終わり。退屈したら終わり。

これを決めるだけで、無駄な時間がかなり減りました。

終わりが決まっていないゲームは、だらだら続きます。そして長くなるほど不利です。

ボーナスに期待しない

オンラインのボーナス、昔なら喜んでました。

でも、長くやると見えてきます。あれはプレイヤーのためというより、長く遊ばせるための仕組みです。

条件が増えるほど、自由がなくなる。

だから今は、できるだけシンプルなものを選びます。派手さよりも、終わりやすさを優先です。

退屈を感じたら、その場で終わる

これ、意外と大事です。

興奮している時はまだいいんです。少なくとも、自分で考えている。でも退屈になると、ただ続けているだけになる。

その状態が一番長く座ってしまう。

今は、退屈だなと思ったらすぐやめます。これが一番分かりやすいサインです。

苛立ったまま帰らない

正直、これは今でも難しいです。

負けると、どうしても気持ちが残る。そのまま帰ると、家に帰っても引きずるんですよね。ご飯もなんだか味気なくなる。

なので、少しだけ間を置きます。深呼吸でもいいし、ちょっと歩くだけでもいい。

区切りをつけてから帰る。感情はその場に置いていくようにしています。

結局、カジノは「結果」ではなかった

長くやってきて、やっと分かりました。

カジノって、勝ち負けそのものより、自分の状態がそのまま出る場所なんですよね。

どうリスクを見るか。どこで止まるか。間をどう取るか。

そこが整ってくると、不思議と余計なことはしなくなります。

おわりに

このリストで強くなったわけではありません。ただ、無駄に疲れなくなった、という感じです。

昔は「どうやって勝つか」ばかり考えていました。今は「どう終わるか」のほうが気になります。

それでいいかな、と思っています。

今日は引き際が一番の勝ちだ。